ここにある。

2016年夏。乳癌になっちゃったよわたし。

フライング加奈子

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2016年9月16日

夫がお休みだったから、
ドライブがてら山梨県立美術館にお出かけ。

山田敬中という日本画家の
「朝霧」という作品が常設展示されているんだ。
この作品を、夫がとても気に入っていて
過去に2度見たことがあるのを また見たいってことでね。

のんびり鑑賞して
美術館の周辺をブラブラした後は、藤野のカフェへ。

山を眺めながらコーヒーを飲んで
陽が傾くまでのんびりまったり。

なんと幸せな時間かな。

暗くなり始めたころ、家に帰った。
今日も一日楽しかったね~ とか話しながら。



家についたら、携帯が鳴った。
H病院からの着信。

…あ。

受付のお姉さんからだった。
柳原可奈子のアパレル店員さんのモノマネのような喋り方をするんだ。
地で。

加奈子(仮名)は言う
「〇〇さまのお電話でしょうかぁ?」

はい、そうです。

「今お電話よろしいですかぁ?
先日受けていただいた検査ですがぁ。
残念ながら、治療が必要な結果が出てしまいましたぁ…。」

あ、そうでしたか。
わざわざご連絡ありがとございます。
…治療が必要とは どんな病気ですか?


わたし妙に落ちついてたと思う。
だって さっき着信見た瞬間 察しちゃった。
23日になったら、わたしから病院に連絡するように言われてたのに
それより1週間も前に病院から連絡が来るなんてさ。
病気だったからいち早くお知らせしなくちゃってことだもんね。

それに、「やっぱりか」という気持ちが大きかったんだよな実は。

口では方々に
「わたしのことだからきっと何でもないよ!」とか
「わたしも大丈夫な気しかしない!」
とか言ってた割に、
ほんとはほんとは「多分わたし癌だよ」って思ってた。

だから、電話でこんなふうに告げられても
取り乱したりもせず。
おー やっぱりか としか思わなかった。
あ、あと、
わー 面倒くさいな… っていうのもあったか。


「大変申し訳ないのですがぁ。
わたくしからは具体的にお伝えできません。
つきましては先生から詳しい説明がありますので
ご家族と一緒にいらしていただきたいのですがぁ。
ご予約はいつがよろしいでしょうかぁ?
一番早くて〇日の〇時になります。」


また予約カヨ。

今度は家族の都合も聞かなくちゃだから、
わたしだけで決められず。
折り返しますと伝えて一旦電話を切った。

口笛吹きながら着てたものを脱いだり片付けたりしてた夫。
やだなー。言いたくない。
けど言わにゃならぬ。

夫ー。夫ー。
今ね、H病院から電話かかってきたんだけど。
やっぱりわたし病気だったよ。


夫がどんな顔してたか覚えてない。


つきましては説明をききに行かなくちゃいけないんだけどね。
一番早ければ〇日だって。
どお?

スケジュール調整してもらって
いいよその日にしようて。
病院に電話を折り返してその旨を伝えた。

すると加奈子(仮名)は言った。
「その日は今さっき予約が埋まってしまいました」

えぇぇぇえ!!!(゚Д゚;)
早い!!!


…なんやかんやで、その日を逃したら
結構後になっちゃったんだよな。
実際の日にちは忘れてしまったけど、
一番最初に提案のあった日にちは
2日後とか近い日だったと思う。

結局予約が取れたのは9月24日の夕方ってことになった。

電話で中途半端な告知だなんて。
フライングだろ。
ドSだな加奈子。
生殺しかよ。

というか、初めに提案があった日程を
とりあえず押えておいて
調整ができなかったらすぐキャンセル、 とか
うまいことやればよかったんだよな。わたしもな。

先生による公式告知まであと8日も先か。
あーん もう。


そしてそのあとわたしは思い出す。

針生検翌日の先生と看護師さんの、
わかりやすすぎる態度の急変。
アレはやはり、検査後の迅速診断で癌細胞が見つかって

あ!ヤバい!
あんなに良性 良性って伝えてたのに
それでも検査すると食い下がったあの人のこと
ちょっとバカにしちゃった!
そしてやっぱりあの人癌だった!

って、慌てたんだろうな。て。

訴えるぞ!って騒がれないように、
あの人に優しくしよ?
明日からでもちゃんと優しくしよ?て。
きっと2人で示し合わせたんだろな。

とか想像したら、わたし笑った。
わはははははははは(≧∇≦)