ここにある。

2016年夏。乳癌になっちゃったよわたし。

告知

2016年9月24日

夕方、仕事帰りの夫と待ち合わせしてH病院へ。
この時間帯に家族同伴で来ている人は
何がしかの疾患が判明して
説明を受けに来てるんだってさ。

わたしの他に60代後半と思われるご夫婦が座っておられた。
ご夫婦揃って大人しそうな方で
夕方という時間帯だからだと思いたいところだけど、
疲れたような顔をしていた。

視線の端にこちらを時々チラッと見たりしてるのが
ちょっとわかったりして。

まぁ、お互いにそうですよね。
わたしだってチラッと見たりしてるから
どんな様子かわかるんであって。

…加奈子(ドS)の生殺し告知から、
このご夫婦がここへ来るまでに
どれくらいの日数があったかわからないけど、
悪いものでしたよーって聞いたまま
何日もかけていろいろ憶測してしまったりするのはイヤなもんですよね。

今聞きにこられますか?
ダメなら明日は?明後日は?
書類FAXしますか?
とか、そんなだったらいいのにね。

…いや、でも普通はショック受けちゃうもんだろうから
クールダウンのために ちょっと日数開けるものなのかな。

でもわたしには あの中途半端な告知から
今日までの8日間が、
さぁいよいよ取組みです、土俵に立って、
はっけよーーーい、、、、、
って言ったまま睨み合ってるだけで
なかなかとれない相撲のようでさ。
もどかしかったな。
早く聞きたかった。

でも現代っ子なわたしだから(中年だけど)
インターネットでだいたいの情報は手に入るし
ある程度の症状から癌の種類も見当をつけてた。

そして調べれば調べるほどに
乳癌て早期発見してキッチリ対処したら
ほとんどの人は命には関わらないってことがわかったし、
中途半端な情報でも、わたしは病気だとわかったことで
精神衛生は検査結果が出る前より格段によくなっていたんだ。

だって、あとは手術したり治療すればいいんだもんね。



今日の夫との待ち合わせも、
なんだかデートみたいで実はウキウキしてた。
行き先が病院でも。
それくらいには、わたしは大丈夫だった。


さて。さて。さて。
そんなこんなでいよいよ告知タイム!

名前を呼ばれて夫と2人診察室へ入ったよ。


「結果から申し上げると、悪性でした。
僕はずっと良性だと思っていたんですけど…。」

先生が素直に認めてくださるなら
別にどうこう言わないよわたし。
「やっぱり癌だったんじゃないかー!」てキレてみたら
今日の診察料タダになるかな?とか笑い話にはしてたんだけど。

「そこから少し突っ込んだ検査もして、
ホルモンレセプター陽性、HER2 陰性の、
ルミナールタイプだとわかりました。」

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わたしのおっぱいの中で育ってる癌は、
女性ホルモンをエサにして成長してゆくタイプの癌なんだって。
硬癌だそうな。

癌め。
勝手にわたしの女性ホルモン食うんじゃねーわよ。
ヽ(`Д´#)ノ ムキー!!


乳管内に発生した癌細胞が
突然変異を起して乳管外に飛び出してゆく。
それが成長してしこりになる。

実際に手術して病理検査をしないと
決定的なことはわからないみたいなんだけど、
今のとこ ルミナールタイプだってことだけはわかったよ。
(どんな治療をするか、の名前みたいなもん。)


でもルミナールタイプにも二種類ある。
ルミナールA(ホルモン治療のみ)
ルミナールB(ホルモン治療と抗がん剤)

でもまだそれはわからない。
ほんとはここでわかったかも知れないんだけど、
それを決めるためのKi67という検査はしてないようだった。


このH病院は検査だけの病院で、
手術施設や病床もなく入院はできないため、
ここからはもう別の病院に転院しなくちゃいけない。

でもそれでいい。それがいい。
そうじゃなきゃちょっと困るもん、
患者が気を使うような病院には通いきれない。
検査来るくらいで終わるのがちょうどいいよ。

そこで、手術のできる病院をいくつか紹介してくれた。
もちろん放射線治療もできる大きな病院。

元々、このH病院の先生が務めていた病院も含め。
最新の技術で手術をしてくれる病院もいくつか。

最新技術の手術。とは。
肌を切らず 電極みたいのを刺して
中で凍結させる→癌細胞を殺す
しかも日帰り手術なんですよ!って。
へー。

でも、切除術じゃないってことは、
つまりおっぱいの中に病巣は(死んでても)入りっぱなし、
ほんとうに死滅させられたかは切ってないが故にわからない、みたいな説明が。
しかも新しい技術すぎて、その手術を受けた人の
再発率やら10年後の生存率なんかもまだわかってないようで。
加えて「保険適応外 実費で60万」。

おとぎ話を聞かせてもらったような時間だったね。
わたしはイイや、そういうの。
スタンダードな手術がいいです。

まぁ すすめてくれるんで聞いてはいたけど、
もうわたしたち夫婦の間では
どこへ転院するか決めていたのさ、実は。

セカンドオピニオンをメールで受けてくださった、
A先生のいるK病院へ行きたい。

(これを書いている12月現在お世話になっている病院で、これからもしばらく通院の予定です。
そうです、念願叶ってそちらへ転院できました。
身バレはいろいろ不都合なんで、
先生や病院の名前にフェイク入れてます。)

1度もお会いしたことはないんだけれど、
とても信頼のおける先生。

でも今日ここへ来るまで
わたしの癌がどんな程度のもんなのか、
タイプは何か?
詳しいこと 何もわからなかったから、
その時点ではA先生に 受入れ・手術をお願いできるかまだ確認もしておらず。
紹介状の宛名書きは暫しお待ちくださいと伝えてH病院を後にした。
決まったら連絡しますと言い残して。



ジックリ話し合って、病院 決めてくださいね。て。
めっちゃいい笑顔してた。看護師さん。
アナタ、そんなふうに笑えるんじゃん。
そっちの方がいいよ。

そしてこうつづけた。
「あなたが癌であるとわかったら、
周りの人は好き勝手なことを言ってくると思います。
ソレが体に悪いんだ、やめろ、とか。
逆に コレが体にいいらしいから、やれ、とか 。
でも、あなたはそれを聞く必要なんかありません。
今まで通りにしていたらいいですからね。
穏やかに過ごしてください。」

いいコト言うね。
きっとそうだろうね。
わたしの母がそういうこと鬱陶しいくらいに
言ってきそうな気がするよ。


H病院では小1時間は話してたかな。
病院を出たら、お腹ペコペコだった。


いつか食べに来てくださいね!って言ってくれていた、
南アジア出身の若き友達 ラジくんが働くお店で
カレーを食べようってことになり。


お店入ったら、ラジくん出てきて
いつもの屈託のない笑顔で「元気ですかー?」なんてさ。
子犬みたいだよ。かわいいな。

まさかついさっき、癌の告知をされてきたなんて言って
子犬の笑顔が曇って シッポが落ちるのを見たくなかったから
元気だよー 何がオススメ?コレは何?
って。
ただただおいしく楽しく、カレーを食べて
ラジくんとお喋りして帰ってきた。

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とてもいいコなんだ、ラジくん。
ラジくんについてはまたおいおい書きたいと思う。


そして家に帰り。
布団に入って眠りに落ちるまでのつかの間
心から

「ヨカッタ」

と思った。

ずいぶん時間かかっちゃったけど、
そして残念ながら癌だったけど、
わたし、やってやった!
早期発見をもぎ取ったぞ!

明日さっそくA先生にメールを送ろう。

スヤリ…