ここにある。

2016年夏。乳癌になっちゃったよわたし。

□□さんのこと

バイト中、持ち場の違う□□さんが
わたしの座っているところへやって来た。
休憩時間までには時間もあるし、
引き継ぎでやってきたんじゃないな、と思った。

□□さん、きっと病気のことを
話しに来たんだろうと直感した。



「お疲れさまです~
少しお話がしたくて。手、空いてます?」

という挨拶の後、□□さんは
割とスカーッ!!と直球で訊いてきた。

「クリコさんは、乳癌なの?」
スカーッ!!(効果音



実は□□さんが子宮体癌で近々手術予定だということは
よりによってエイプリルフールの日に本当の話として
別の人から聞いて知っていたんだけど、
(ややこしい。)
わたしに話してくれた人と□□さんとの信頼に関わるし
徹頭徹尾 知らないフリを通そうと決めた。

でもわたしに話してくれた人も、
お見舞いに千羽鶴を折っているのを
わたしに何だ?と訊かれて
気まずそうに答えただけなんだけど。


そしてね。
わたしもこの職場では
ヒマな時間帯に雑談で何人かに
「今検査してるんだ~。針生検めちゃイテェ!!」
とかそんな早い段階から話してきたもんで、必然的に
「結果はどうだった?」
て訊かれたし
「やっぱり癌だった」
ということも話してて、
話した人たちには心配かけちゃって申し訳なかったんだけど、
まぁ病気だなんて別に面白い話でもないし
それ以上の人には話さず、
ちょうど繁忙期も去ろうとしていた時期で
そのままおよそ半年後までわたしは姿を消すし
(繁忙期だけのバイトなの。)
姿を消している間に
手術や、通いの放射線治療を終えることができてる。

抗がん剤の効かないタイプの癌だったから
頭髪とかの見た目の変化もなく
しれ~っと何食わぬ顔で
またこの春から働き始めていたワケね。


そして□□さんには
わたしが乳癌だということは
これまでに話していなかったんだけど、
どうして□□さんが知っていたかと言えば
癌だと話したこの職場の誰かから聞いたんだと思う。

でもその人たちもゴシップとして
□□さんに喋ったんじゃないね。
□□さんの病気が発覚したのをきっかけに、
実はクリコさんは乳癌なんだよ、話してみたら?
と紹介したのだろうね。

ありがたいことにわたし
半年前と変わらずヘラヘラと過ごしていられてる。
「ほらあの人をごらん。心配いらないよ」
というポジティブな意味合いで紹介されたんだと思う。



この後きっと打ち明けられるだろうから、
なるべく明るい感じで笑って答えたよ。

「そうなんですよね~。乳癌!」

「いつからなの?」

「気づいたのは去年の夏です。
ここに来てる頃いろいろ検査をしていて、
すったもんだの後ようやく確定しました。
11月末に手術して、その後放射線治療も終わって、
これから先は5年間、ちょっと長いんですけど
飲み薬の治療をしてゆくだけです。」

「しんどくなかった?」

「いえ、確定してからは
自分でやることなんてほとんどないし
放射線治療に通ってた時は疲れでヘロヘロだったけど、
通院が終わってからはそんなこともなく。
飲み薬の副作用でちょっと太りましたけどね。えへ。
あとは軽く目眩がするくらいで
生活に支障があるワケでもないし
今やこの通り元気に過ごせてますよ!」

と説明。

「実はわたしも…この間子宮体癌が見つかってしまって...」

とうとう打ち明けてくれた。


Σ(゚Д゚ノ)ノえぇっ!!←演技。
初めて聞いたかのように。
わたし女優もいけるかも。
こんにちは、クリコあらため井川遥です。

どんな感じで発見されたのか
これからどういう予定なのか
などなどを話してくれた。
詳しくは書かないけど、早期発見だったそうだよ。

「早いうちに見つかってよかったですね!
早期発見は、病気を治す上で
すごく重要なポイントになると思いますよ。
あとは侮らず、かと言って臆病にならず
キッチリやることをやれば根治だってできます。
頑張ってくださいね。祈ってます!」

□□さんは最後には
「ありがとう!
あ~!なんか話してヨカッタなー!」
と言ってくれた。


もう1人、別の職場の同名のくりこさんにもいつだったか
「どうやら乳癌らしいが怖くて検査に行きたくない」
と打ち明けられ、説得し、励まして、
ついにはくりこさんからも
「クリコさんに話してヨカッタなー!
勇気湧いてきた!
頑張って検査も手術も受けてきまーす!」
と言われたことがあるんだよね。


同じように病気になった人の
励みになれたなら嬉しいよ。
これからも心置きなくヘラヘラ過ごすことにするぞ。


さて。
さて。
今日がいよいよ□□さんの手術日です。
□□さん、頑張れ!!
手術はうまくいく!!

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きっと来年の今頃は
そんなこともあったね、と
穏やかな気持ちで桜を眺めていますよね。