ここにある。

2016年夏。乳癌になっちゃったよわたし。

針生検やってください

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2016年8月30日

さて。H病院へ。
ここも完全予約制だから電話で最短日をお願いしてこの日に決まってた。

晴れてわたしは今日!針生検を!受けられる!
ららららら~♪
検査はイヤだけど嬉しい。
やってもらいたいことをやってもらえるのだからね。

受付に紹介状を渡し、問診票を書き込んだり
ロッカーの使い方を教えてもらったり。
検査着に着替えて待合シートへ。
しかしスゴイ混みようだよ。

去年だか一昨年だか、北斗晶さんが乳癌てわかって
それからというもの乳癌検診の人が後を絶たず
検診数が倍増してるんだってね。
そんなラッシュの中、わたしも大勢のうちの1人としてここにいるんだな。

待合室のテレビを観たり観なかったりしてたら
奥の方から名前を呼ばれた。

マンモグラフィーからやりますね」

はい、わかりまs…
え。ちょっと待って?
マンモグラフィーはこないだM病院で撮って、
今日はその写真も持参してきましたよ?

ダメなんだってさ。
H病院であらためて撮り直しなんだって。
同じようにエコーもね。

なんだ、じゃもう完全にM病院での検査は
時間も費用もムダだったってことじゃないか。
ちなみにこれまでの検査でM病院に1万円以上支払ってる。
あー ほんとに損しちゃったな。

でもまぁ H病院でもこういう検査ってルーチンなんだろうね。
針生検だけお願いしますってこともできないんだろう。

マンモグラフィー。また耐えて。
エコーはね。電気シェーバーみたいなやつでなしに、
なんかプラスチック板みたいのを満遍なく
おっぱいに押し当ててスキャンする、ってヤツだった。

エコーは撮影する人の技量やクセが出るらしいけど
この病院のエコーは誰が撮っても同じで技量なども関係がなく、
1度スキャンすればパソコンを介して
後から何度でも どんな角度からでも見れてしまうという画期的なものだったよ。
へー。最新医療機器。スゴイ。

後で見せてもらったマンモグラフィーとエコー画像は
M病院とは比べ物にならないくらいクリアでとても見やすかった。
ナルホドね。
病変を見極めるならキレイな画像を準備しなくちゃいけなかったのか。
だから撮り直しが必要だったんだ。

そしてね。
この板をおっぱいに押し付けてスキャンをする最新エコーも
普通は痛みなんぞないらしいんだけど、
わたしは痛くて痛くて仕方なかった。
なんでこの人辛そうな顔してんの?みたいな感じで
スタッフの人に見られていたもんね。


そして一旦待合へ戻され
しばらくしてようやく先生とこんにちは。

先生、メッチャ早口。
そして流暢な日本語。
今回は「流暢」って言っていいと思う。
よくそんな専門的な話を一言もつまづきもせず話せますね。

毎日毎日スゴイ数の患者さんに、同じことを説明してるうちに
口開けたら再生機器ように出てくるようになったんだろうねその説明。
早口だけど的確な説明はとてもわかりやすいです。

触診。
ほうほう。
あなたはね、ホルモンバランスが悪いですね。
右側の胸にこんなに嚢胞やら線維腺腫やらができるなんて
ホルモンバランスが悪い証拠なんです。
胸全体が硬いです。

左は…。
確かにここにしこりがありますね。(触診)

マンモグラフィーには写ってませんね。
エコーも、僕さっき見てみたんですけど。
この硬いしこり。コレは嚢胞ですね。
というか、嚢胞だったものがギューっと縮んで変な形になったり
硬くなったりしているんです。
閉経すれば自然と消えてしまうこともありますよ。
そしてそのとなりにもう一つ小さな嚢胞が並んでます。

前の病院のエコーを撮った人は、
一番写りの怪しげな角度から撮ったんでしょう。
見る角度によって全然違って見えるんですよ。
例えばニンジン。
輪切りにするのか、縦二つに切るのか。
違うものに見えますよね。
でも同じニンジンです。

コレは良性のもので間違いないです。
経過観察でいいと思いますよ。

わたし「そうなんですか…?」
こんなに丸くて硬いものが自然に消えてなくなることってあるんですか?

消えない場合もあります。
消えてしまう場合もある。
でもコレは、確かに良性です。
なんでこんなに自信を持って悪性ではないと言っているかと言うと、
(エコーで撮った何かを見せながら)
もし悪性のものなら ここに(何かの)数値が出るハズなんです。
それが、あなたのものには何も出てきていないんですよ。

わたし「はぁ...」

機械は最新。
ベテランと思われる年代の先生。
テキパキとわかりやすく かつ 説得力のある話ぶり。
「The デキる医師」

わたし 夢遊病にでもなったみたいに
...そうか、悪性じゃないのか...経過観察でいいのかも...
ってボーっとしてきて
危うく「経過観察します」って言いかけた。

でもメールでセカンドオピニオンの返信をくださった
別病院の先生の「絶対に経過観察などしてはいけない」
というメッセージがこだましてハッとした。

「やはり 白黒ハッキリさせたいです!
ここで働かせてください!」
ってハッキリ伝えられた。

違うな。
働かせてください、は言ってない。
千と千尋っぽかったなわたしって思っただけ。


「針生検、やるだけムダだと思いますけどね…」

先生も横に立っている看護師さんも わたしのこと、
ヤレヤレ聞き分けのないオバさんだねって感じで見てた。
いや、その時 わたしのこと見てもいなかったな。
言葉の陰に隠しきれない2人の本音だけがコッチ見てたんだな。

食い下がる。
「お願いします。針生検やってください。」
お願いします!働かせてください!
♪呼んでいる~胸の~どこか奥で~♪(しこりのことかな。


まぁ、そこまで希望されてるのに拒否することもできませんから。
じゃあやりましょうか。

ようやくやってもらえることになったよ。ヨカッタ。
なんでこんなに疲れるんだ。


何か早口で説明をする先生の言葉を逃さないように
必死で聞いてるわたしの左腕を無言でつかんで
ゴム巻いてチャキチャキ採血を始める看護師さん。

忙しいのはわかるが後にしてもらいたい。
先生の話に集中したいのに。

なんか横からゴニョゴニョっと言われたから、
止血かな?と思って腕を折り曲げたら、
「違います!指で抑えておいてください!」て。
聖徳太子じゃないんだからアッチもコッチもいっぺんに聞けるかよ。
一瞬ムッとしちゃったけどこらえた。

針生検やってもらうため。
通過儀礼
ルーチン。
お約束。
お決まり。
。。。。。

そして このお忙しそうな方々が「では、」って言うから
わたしも急がないと。と思って
椅子からサッと立ち上がり、ベッドに移動しようとしたら。
「今日は針生検やりませんよ。予約取ってからにしてくださいねー」
って言われた。

あ、すいません…。
今日ではないんですね。そうですか…。
どうもありがとうございました。
ではまだ……。

パタリ。
診察室を出た。

惨めだった。

わたしだって好きでこんな所来てないよ。
ムダだと思いますけど、だってさ。
何が?
本当に何でもないことを知るための検査ならムダなことなんかあるもんか。
経過観察でいいだなんて、ひと月前と何も変わらないってことじゃないか。
半年後も今と変わらないってことじゃないか。
ずーっと コレなんだろう?って思ってたらいいってこと?
M病院で針生検できませんって言われた時と同じままってことじゃないか。
ここに来た意味ないじゃないか。

更衣室に入ってションボリしながら検査着を脱いだ。
鏡見たら 髪ボサボサになってた。
さっきの場面を思い出したらイライラしてきて
脱いだ検査着をバシッと床に叩きつけた。
なんだよなんだよ!バカ!

でも検査着は受付の人へ手渡しで返却だから
拾ってたたんでキチンとお返しした。
ちぇっ。

針生検の予約を取って、トボトボ帰った。
今日やってもらえると思ってたのにな。
また1週間後だってさ。

あーあ。
何かしようと思えば予約、予約、予約。
その度に時間ばっかり経ってゆくよ。
今日病院へ行くまでのあの嬉しさは何だったんだ。

夏が終わるで( ´д`)…トホホ