ここにある。

2016年夏。乳癌になっちゃったよわたし。

針生検やるの?やらないの?

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2016年8月9日のつづき

いろいろ用事を済ませてから、夕方、病院へ戻った。


服を脱いで横になって。
わたしはまな板の上の鯉。

さぁさ始めましょうって段で
「うーーーん。針生検、できないかも」
って先生が言うんだよ。

ギョギョギョ!Σ(゚ロ゚!
鯉もビックリ。

なんかだって わたしもうおっぱい放り出してベッドの上で転がってるのにさ。
できるとかできないとか そんな議論を今更?
こちとら覚悟決めて来てるんですよ。
ねぇアオキくん、やるの?やらないの?と。
(再三言うけどアオキくんじゃない。


なんでできないかって、
針生検はバネの力で針が飛び出して
その勢いで標的を撃ち、瞬時に組織を採取するんだって。
高速ミッションだな。
わたしの左胸にあるしこりは、
小さい上にクリクリよく動いてしまうので
針を発射したその瞬間、ツルッと逃げてしまうってさ。

細胞診ならば、手さぐりで針を刺すことが出来るから、
確実に採取できるって説明をいただきまして。

うーむと悩んじゃったよ。

(結果待ちのこの1週間で独自に調べてわかってたんだけど)
先生ができると言った細胞診では、確定診断にはならない。
悪性と出れば ほぼ間違いなく悪性なんだけど、
良性と出ても信頼度は低いらしい。
良性の部分の細胞が採取されただけで、
悪性のところに刺さってなかっただけかもしれないってことで。
偽陰性(偽良性)ってことがよくあるんだってさ。
それか、そもそも細胞が採れてないことによる検体エラー。

確定診断は針生検か 外科的生検でしかされない。
でも針生検できないって言うんじゃしょうがないじゃない。
じゃあできるって言った細胞診、やってください、と。
裸のまんまですったもんだ。

結局 細胞診をやることに。
なんだか不本意だけど。仕方ないです。


針生検だったら針も太いし 痛いから麻酔してからやるらしいんだけどね。
細胞診は針も細いから麻酔なし。

でも細いったって採血に使うのと同じ太さの針だもの。
痛かろうな。
でももうグダグダ言わない。
へい!!バッチコイ! !


…あ、あつぅい。
痛いというより お湯を注入してるのか?みたいに熱い。
コレはガマンできるかもしれない。

そしてしこりのとこまで針が来たら。
グイっと刺す!
しかも細胞を採取するために中で針をグリグリ!

…うぉぉお メッチャ痛いじゃん!!
この検査は誰だよ麻酔なしとか決めたヤツ!!

…活け造りにされる鯉はもっと痛いんだろうな。
かわいそうに。
ひと思いにシメてやったらいいんだよ。
苦しめずに。鯉。

というワケで痛みで息止まってた私の背中を看護師さんがさすってくれた。
大丈夫ですか?て。
いや、だいじょばないよ、すごく痛かったです。
でもわたしオトナだから、
「大丈夫です」ってウソついた。

そして起き上がろうとしたら、
先生ゆっくり振り向いて こう言った。

「もしかしたら、細胞採れてないかもしれないです。
もう一度やってもいいですか?」

…え?

この時の心の声は汚すぎてとても書けないから省きます。

「あ…そうですかじゃあ仕方ないですねもう一度お願いします」て。
絞り出すように。

そして同じ工程を経て、やっと終わった2度目の細胞診。

「うーーーーーん。採れてないかも…。」

…なんかいろいろ頭の中で巡ったな~と思ったら、
もう ぬあーーーー!!!ってなっちゃって。

「先生。針生検ができず、細胞も採れたかわからない。
もし病理を知りたければ、もう残るは外科的生検しか方法はないですよね?
面倒だから摘出しちゃってもらえませんか?」
気づいたらそんなセリフが口をついていた。
我ながら潔すぎる。
自ら活け造りにしてくれと言い出す鯉。

そしてこの時のことを振り返って思ったけど、
わたし物事を「面倒くさいか面倒くさくないか」で判断しがちなとこあるな。
そういうとこある。
ケースにもよるだろうけど、あんまりいいことじゃないね。

そんなちょっぴり飛躍した提案に、先生も
「えぇい、摘出しちゃいましょうか!」って乗ってきた。
まぁそうなるわね。

じゃ、1週間後に日帰り手術の予約を入れますよって。
手術に向けての採血もサラッと済ませ、お会計を待っていた。

あ~ 痛かったな。
痛いって疲れるな。
早く帰りたい。
お腹も空いた。
などと考えていた。

そこではたと気づいた。
あれ。日帰りとは言え、手術だよね。
どれ位かかるんだろう、お金。

お会計で呼ばれついでに、係のお姉さんに訊いてみた。
「詳しくはわからないのですが…7万円から12万円と記載があります。」
なななななな 7万円?!
じゅじゅ、12万円?!
保険適応で?ですか?
「はい」

(´゚Д゚`)えーってなる鯉(もうまな板からは降りたし鯉でなくていいか。

後で調べたら、こんなにかからないことがわかったんだけど、
お会計カウンターのお姉さん、周りに訊く人がいなくて
多分普通の入院ありの胃や腸の外科手術の
費用を教えてくれたんだろうな、とも思うのだけど、
でもわたし その時大いにビックリしたんだ。
検査段階でそんなにお金かけるってどうなの?と。

それに自分からの提案だったとは言え、
ヘタしたらおっぱいの形崩れるような手術だぞ。と。
検査なのに?えー。と。

んで、家に帰って夫に相談した。

「だからー。
近いからってM病院に行かなきゃヨカッタんだよ。
あ~ オレも一緒に行けばヨカッタな。
1人で行かせたの後悔してるよ。」

前々から、ここはあまりいい病院ではないということを
夫婦揃って 過去何度か身をもって、思い知らされたこともあって、
遠くて面倒でも、ちゃんと調べてくれる病院へ行ったほうがいいと
早い段階で夫には言われていたんだよね。

うん、ほんとうだね。
でも近いから もし入院が必要なものだったとしても
お互いに便利だろうって思ったんだよわたし。
でもそれ以前の話だったな。
検査段階でこんなにつまづくとは思わなかった。

でね。
細かい説明もした。

細胞診だから、良性と出ても信頼できないの。
悪性って出たら それは決まりってことだから
あ~ヨカッタ!めでたしめでたしってなるんだけど。
とか なんか本末転倒な会話になってきちゃって。
良くないよちっとも。悪性出ちゃダメでしょう。
めでたいのは私の頭か。

…ちょっと疲れたんだなわたし。
ワケわかんなくなってきた。

細胞診の結果は2週間後。
外科的生検は来週。

せめて細胞診の結果を聞いてからでもいいんじゃないかと。
外科的生検はその後でも。

そういう話し合いに落ち着いたんだ。
そうだ、そうしよう。
もう少し考えたっていい。

おっぱい、痛かったから。
冷やして休むんだもう。
実に長い長い 一日であったよ。やれやれ。