ここにある。

2016年夏。乳癌になっちゃったよわたし。

出過ぎの話

こないだ休みの日に夫と話をしてたんだ。

なんでそんな話になったのかは覚えていないんだけど、面白い話だった。

その話というのは
夫は昔自衛隊にいたんだけど、
戦車の乗り降りの速さを競う大会?みたいので優勝をしたことがあるんだって。

夫は少年の頃から野球やったりサッカーしたり
運動神経がとてもいいし身のこなしが素早いんだね。

そしてさ、肩も強かったんだって。
ソフトボールの遠投で、最高記録とまでは行かなかったけど
タイ記録を打ち出したとか。
夫は50を過ぎた今でも細身で筋肉質ないい体をしているよ。
今で言うところの細マッチョ?でいいの?
あら?今も細マッチョって言う?

それはまぁいいや。
ステキなの。

でね。

その夫が20代半ばだった頃のこと。
なんかね。
軽トラを意味もなく持ち上げてたって言うんだよね。

あ、待って?
ブログ閉じないで?
何言ってんのかよくわかんないよね?
うん、わたしもわかんない。
念のためもう1度言うね。

あのね、
軽トラをね、
持ち上げてたんだって。

…2度言ったところで意味のわからなさは深まるばかり。

夫は言う。
「体力が有り余ってた」

どうも、職場に軽トラがあったそうなんだよ。
そして職場の人が軽トラに乗って出かけようとするのを、
軽トラの後ろを持ち上げて阻止。
「前に進まない!」というイタズラをしていたらしいんだよね。

イタズラしたかっただけじゃなくてね、
ほんとに理由もなく軽トラを持ち上げてたこともあったとか。

夫…!!
それってもうそこにはピュアな気持ちしかなかったってことだよね?
「軽トラを持ち上げたい」という。
きっとその時のアナタはキラキラ輝いていたに違いないよ。
ステキだよ…!

あぁ、軽トラを持ち上げる夫は
エキシビションの最後に羽生くんをリフトするオンドレイ ホタレックのようだったかしら。
(時事を挟むいいブログ。何日か前だけど。


そしてある日は仕事中
ウッカリ側溝に軽トラがハマってしまった時に
夫は軽トラを持ち上げーの道路に戻しーの、
普通に運転して帰ってきたそうだよ。
なにそれJAFいらーず。



そしてね。

夫はこの軽トラ持ち上げ期の数年後に
重症筋無力症といういわゆる難病を発症するんだ。
どうだイキナリの展開だろう。ビックリだろう。

詳しいことはわからないけど、
この病気は甲状腺が関係しているらしいんだね。


ちょっと話は逸れるけど、
わが家の白ニャンコ、甲状腺機能亢進症という病気を持ってる。

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甲状腺ホルモンが出過ぎて
何もかもがパワフルに働きすぎちゃう。
内蔵の働きも活発すぎてしまう。
食べても食べてもどんどん燃えるから痩せてゆく。
血圧も高くなる。
イライラしやすい。
感情が豊かになりすぎる。
年齢の割にやたらと元気。
今年20歳だけど 調子出てくると家の中を走りまわったりしてるもんね。

元気ならそれはいいことだと思いがちだけど
そうでもなくて、やはりそこは普通の状態に保ってやらねばならないそうなんだよ。
だから白ニャンコは毎日薬を飲んで
甲状腺ホルモンが出過ぎてしまわないように調節をしながら過ごしてる。

というワケでさ、
甲状腺ホルモンが異常をきたすと
ワケもなくパワフルになっちゃう、みたいなとこあるらしいんだね。


また夫の話に戻るけど、
夫は「きっとあの頃(軽トラ持ち上げ期)から 病気の片鱗はあったと思う」と語る。

きっとあの体力の有り余る感じは
若いからというだけではないよ、と。
甲状腺の何かが出過ぎていたとか
過剰に働きすぎたことによるものなんじゃなかろうか、と。

うん、そうだったのかもね。


そして夫は甲状腺の手術を受け、
死んじゃうかもしれなかった難病を克服。
今は元気に暮らしているよ。

でも今はまた別の自己免疫疾患を患っていて
それは飲み薬で緩解させている感じなんだけど
それもやはり、夫の中の何かが暴走したり出過ぎたりして
自分自身を攻撃したりしてるんだろうから
やっぱり体の中で何かが出過ぎているということなのかね、と。
あんまり何かが出過ぎているというのは
よくないんだね、そだねー(カーリング女子(時事 以下略
という話をしていたんだ。


ちなみに夫はもう軽トラは持ち上げていない。
そう。
落ち着いたの。
いろいろ。
年齢的にも。


という、無事でなにより生きててヨカッタ!という話の後だから全然インパクトないんだけど
わたしも何年か前まで月に一日だけ、
やたらとパワー全開になる日があってさ。

というのはいつも生理の直前なんだけど、
きっと多分それはホルモンの関係なんだ。

理由なき万能感が湧いてきてしょうがない日があるんだよ、頭おかしいだろ。

スーパーに買い物に出かけただけなのに
「わたし 何でもできる!どこへでも行ける!」
とかイキナリ高揚してスーパー入る前に
ワケもなくそこらへんをダッシュしたりしてた。
我ながら 傍から見たらあまり関わりあいになりたくない人物み。

で、その万能感溢れる特別な一日以外は
40も手前だと言うのに生理前の胸の張りが10代の頃のようにひどいし、
歯が浮いてくるような変な感覚があって、
調べてみたら女性ホルモン過剰で
歯ぐきからも漏れ出ている状態だったらしいのね。
それは歯槽膿漏や歯肉炎になりやすいから気をつけねばならないみたいなんだけど。


で、1年ちょっと前から
ホルモン剤を飲んで癌治療している今、
そういうワケのわからない過剰な状態はなくなったと思う。

何でもできる!!という万能感は
「今日いつもよりちょっと調子いいな」程度に落ち着いた。
生理前の胸の張りもあまり感じなくなった。
歯ぐきの違和感も そういえば…と思い出す程度に。

つまりわたしもね、女性ホルモンが出過ぎてたんじゃないかと思うの。

わたしの乳腺にできた癌は
ホルモン感受性のある癌だったから、
癌細胞たちにとってもうそれはそれは好条件な居場所だったんじゃないかと思う。
エサである女性ホルモンがピャーピャー湧いてるんだもんね、出過ぎなくらいに。

うむ、やっぱり「出過ぎ」いくない。

何もかも ちょうどいい加減というものがあるんだね。
甲状腺ホルモンも女性ホルモンも
自分の意思ではどうにもならないから
おとなしく治療してくしかないけど。

というようなことを語っていたある日の午後でした。


なんかいろいろ書いたけどわたし、
若い頃の夫が軽トラを持ち上げる姿を
見てみたかったな、と思ったり思わなかったり。

それではねー。
そだねー。(←ただ言いたいだけ